「システムエンジニアになりたいけど、資格って絶対に必要なの?」
そんな疑問を抱えている方、多いのではないでしょうか。実は、システムエンジニアになるために必須の資格というものは存在しません。医師や弁護士のように、公的な資格がなければその職業に就けないというわけではないんです。
でも、だからといって資格が無意味というわけではありません。むしろ、キャリアアップや転職、年収アップを目指すなら、資格は強力な武器になります。特に未経験からシステムエンジニアを目指す方や、SES企業からキャリアアップしたい方にとっては、資格取得が大きなアドバンテージになるんです。
この記事では、システムエンジニアにとっての資格の本当の価値と、キャリアステージ別におすすめの資格を徹底解説していきます。あなたのキャリアプランに合った資格選びの参考にしてくださいね。
資格がなくてもSEになれる理由とは

システムエンジニアは実力主義の世界です。
実際、資格を一切持っていないシステムエンジニアも数多く活躍しています。大切なのは、プロジェクトを成功に導く技術力やコミュニケーション能力、問題解決力といった実践的なスキルなんです。
公的認可が不要な職業だからこそ
システムエンジニアは、医師や弁護士のように特定の資格がなければ業務を行えない職業ではありません。極端な話、営業職と同じように、実力が物をいう仕事なんです。プログラミングができて、システム設計の知識があれば、資格がなくても十分に活躍できます。
ただし、実務経験を積んで、マネジメントスキルや専門分野のスキルを磨かないと、需要が減ってしまう難しい職業でもあります。だからこそ、継続的な学習が求められるんですね。
資格は学習のための優れた道しるべ
IT業界未経験からシステムエンジニアを目指す方にとって、「何から勉強すれば良いか分からない」というのは大きな悩みですよね。そこで役立つのが資格の取得なんです。資格の勉強を通じて、エンジニアに必要な基礎知識とスキルが体系的に身に付きます。
実務に入る前に、まずは基礎知識を押さえるのが重要です。システムエンジニアにとって資格は必須ではありませんが、学んだスキルを実務で使えるようになるまでの小目標として捉えると、とても有効なんですよ。

資格取得がもたらす3つの大きなメリット
資格は必須ではないけれど、取得することで得られるメリットは確実にあります。
特に転職やキャリアアップを考えている方にとっては、資格が持つ力は想像以上に大きいんです。ここでは、システムエンジニアが資格を取得することで得られる3つの主要なメリットをご紹介します。
未経験からの転職で圧倒的に有利になる
未経験からの転職では、知識や学習意欲、ポテンシャルなどが選考で判断されます。採用担当者は、応募者の将来性を踏まえて、採用・不採用の判断をしているんです。
未経験の方は実務経験がないので、資格の取得を通じて、知識や学習意欲に溢れる人材であることを証明できます。エンジニアは生涯勉強の必要な職種であり、「勤勉さ」をアピールできる第一の方法として資格取得が推奨されるんですね。
システム開発の基礎知識を持っていることが証明されれば、採用担当者も安心して採用を検討できるというわけです。
客観的なスキルレベルの証明が可能
ITエンジニアの世界は実力主義で、資格取得に懐疑的な方もいるかもしれません。ですが、転職だけでなく実務の中でもITエンジニアのスキルは証明が難しく、資格取得によってスキルセットや市場価値を認められやすくなるのは事実なんです。
プロジェクトによっては保有資格がアサインの条件になるケースもあります。上級の資格を取得すると、キャリアアップ・年収アップに効果的なんですよ。
特に、基本情報技術者試験や応用情報技術者試験といった国家資格は、IT業界全体で広く認知されているため、客観的な評価基準として非常に有効です。
資格手当で年収アップが期待できる
毎月の給料に上乗せされる「資格手当」制度や、一時的に支給される「合格報奨金」制度などを導入している企業も多いんです。難易度の高い資格ほど資格手当・合格報奨金の支給額は高くなるため、ぜひ資格を取得したいところですね。
資格取得に報酬を用意している企業も多いため、データベース系のSEは自身のスキルアップだけでなく、給料アップも見込める魅力のある資格が多数あります。年収アップを目指すなら、資格取得は確実な方法の一つと言えるでしょう。

未経験・初心者SEにおすすめの入門資格3選
これからシステムエンジニアを目指す方や、IT業界に入って間もない方には、基礎基本を学べる資格がおすすめです。
ここでは、未経験者や初心者が最初に取得を目指すべき3つの資格をご紹介します。異業種からの転職者にも活かせる資格ばかりですよ。
ITパスポート試験:IT知識の第一歩
ITパスポートは、ITに関する基礎知識を問う国家資格で、情報処理推進機構(IPA)が運営しています。CBT方式でいつでも受験でき、出題形式は多肢選択式です。
IT業界における用語や仕組み、業務全体の流れなどを理解していることを証明できます。プログラミングやアルゴリズムといった高度な内容は含まれず、初心者でも取り組みやすいのが特徴なんです。
SEとしての業務では、ITに関わる全体像をつかみながら、用語や基本概念を理解したうえでチームの会話や業務内容を把握する力に活かせます。受験料は7,500円(税込)で、合格率は平均して50%前後です。
基本情報技術者試験:エンジニアの登竜門
基本情報技術者試験は、IT全般に関する基礎的な知識と技術力を問う国家資格で、情報処理推進機構(IPA)が実施しています。ネットワークやデータベース、アルゴリズムなど、実務に直結する幅広い内容から出題されます。
IT系資格の中で最も多くのエンジニアが取得している資格で、ITエンジニアの登竜門とされています。SEとしての業務では、ITの構造や開発の流れを理解したうえで、チーム内での役割を正しく把握し、スムーズに業務を進める基礎力として活かせます。
受験料は7,500円(税込)で、2024年度の合格率は47.1%となっています。全問が多肢選択式で、随時受験が可能です。
マイクロソフトオフィススペシャリスト:実務スキルの証明
マイクロソフトオフィススペシャリスト(MOS)は、WordやExcel、PowerPointなどMicrosoft Office製品の操作スキルを証明できる民間資格です。文書作成や表計算などのスキルを実務レベルで活用できるかを問われます。
SEとしての業務では、設計書や提案資料、議事録などの作成に活かせるため、業務効率を高めたい人や文書スキルに自信をつけたい人におすすめです。受験料は一般で10,780円(税込)から、科目・レベルにより異なります。一般レベルで約70%の合格率となっています。

経験者向けのステップアップ資格5選
3年程度の実務経験を積んだシステムエンジニアには、さらなるレベルアップを図る資格がおすすめです。
ここでは、中級者から上級者へとステップアップするために役立つ5つの資格をご紹介します。キャリアの方向性に合わせて選んでみてくださいね。
応用情報技術者試験:中級エンジニアの証
応用情報技術者試験(AP)は、基本情報技術者よりワンランク上のITエンジニアであることを証明する国家資格です。特別な受験資格はありません。
システム開発の応用的な技術的スキルに加え、予算・工程・品質の管理や、経営戦略・情報戦略における差異分析や提案書の作成スキルを問います。試験の難易度はやや高く、2019年度の合格率は22.3%です。
試験は午前150分のマークシート方式、午後150分の記述式となっています。試験は4月第3日曜日・10月第3日曜日に全国の試験会場で実施され、受験手数料は5,700円(税込)です。さらなるレベルアップを図る方のための資格として最適ですよ。
プロジェクトマネージャ試験:上流工程への道
IPAが主催する「プロジェクトマネージャ試験」は、プロジェクトを成功に導く高度IT人材であることを証明する国家資格です。特別な受験資格はありません。
プロジェクト全体計画の策定やスコープ・予算・スケジュール・品質・リスクの管理、ステークホルダーとの調整といった知識・スキルを問います。試験の難易度は高く、2020年の合格率は15.1%です。
試験は秋季に年1回のみ実施され、午前I共通問題50分・午前II選択問題40分のマークシート方式、午後I記述式90分・午後II論述式120分となっています。受験手数料は5,700円(税込)です。
PMP:国際的なプロジェクトマネジメント資格
PMI(プロジェクトマネジメント協会)が主催する「PMP」は、プロジェクトマネジメントのプロフェッショナルであることを証明する国際資格です。試験はPMIが策定したプロジェクトマネジメントの方法論「PMBOK」に基づいて実施され、合格するとさまざまな国・業界で高い評価と信用を得られます。
資格取得後はCCRと呼ばれるプログラムに従事し、3年ごとに更新手続きが必要です。取得・維持の難度は高い資格ですが、保持すればキャリアアップや人脈拡大につながります。
国際資格ですが、試験会場予約時に日本語を選択すると日本語で受験可能です。受験費用は一般555ドル(再受験375ドル)、PMI会員405ドル(再受験275ドル)となっています。
システムアーキテクト試験:設計のスペシャリスト
以前は「アプリケーションエンジニア」と呼ばれていた国家資格です。アーキテクトとは設計を意味しており、「システムアーキテクト試験」は情報システムや組み込みシステムにおけるアーキテクチャーの設計をしたり、システム開発を主導したりするエンジニアを対象としています。
試験では情報システムと組み込みシステムに関する専門的な深い知識が求められます。令和元年度の合格率は15.3%と難易度の高い資格ですが、上級システムエンジニアを目指す方はチャレンジする価値がありますよ。
ネットワークスペシャリスト試験:インフラの専門家
ネットワークシステムの構築・運用に携わるネットワークエンジニアやインフラ系エンジニア、またはそれを目指している方向けの資格です。
試験ではネットワークシステムの要件定義や開発・運用、保守に関する知識、ネットワーク・アプリケーション技術など、ネットワークに関するさまざまな知識が問われます。令和3年度の合格率は12.8%と難易度は高く、ネットワーク系エンジニアが持っていると心強い資格です。

専門分野別のおすすめ資格
システムエンジニアのキャリアは多様です。
データベース、セキュリティ、クラウドなど、専門分野を極めることで市場価値を高めることができます。ここでは、専門分野別におすすめの資格をご紹介します。
データベース系:オラクルマスター
オラクル社製品の「Oracle Database」に関する技術を証明する資格です。Bronze・Silver・Gold・Platinumと4つのレベルがあり、Bronzeから順番に取得していきます。民間資格ですが、Silverからは世界共通規格となり、世界的に通用する資格なんです。
資格取得に報酬を用意している企業も多いため、データベース系のSEは自身のスキルアップだけでなく、給料アップも見込める魅力のある資格です。データベースエンジニアを目指す方には特におすすめですよ。
セキュリティ系:情報処理安全確保支援士
サイバーセキュリティに関する専門的な知識・技能を活用して企業や組織における安全な情報システムの企画・設計・開発・運用を支援する国家資格です。セキュリティエンジニアやセキュリティコンサルタントを目指す方に最適な資格となっています。
近年、サイバー攻撃の脅威が増大する中で、セキュリティ人材の需要は急速に高まっています。この資格を取得することで、セキュリティ分野での専門性を証明できるんです。
クラウド系:AWS認定資格
Amazon Web Services(AWS)の技術的な専門知識を証明する資格です。クラウドプラクティショナーからソリューションアーキテクト、DevOpsエンジニアまで、さまざまなレベルと専門分野の資格が用意されています。
クラウド技術の需要が高まる中、AWS認定資格はクラウドエンジニアとしてのキャリアを築く上で非常に有効です。特に、クラウド管理に特化したクラウドエンジニアを目指す方におすすめですよ。

業態別の資格活用戦略
システムエンジニアの働き方は企業の業態によって大きく異なります。
SES企業、SIer企業、自社開発企業では、資格の重要度や活用方法が変わってくるんです。ここでは、業態別の資格活用戦略をご紹介します。
SES企業:資格でキャリアアップを実現
SES企業では、資格取得がキャリアアップに直結します。プロジェクトによっては保有資格がアサインの条件になるケースもあり、資格を持っていることで、より条件の良いプロジェクトに参画できる可能性が高まるんです。
特に、基本情報技術者試験や応用情報技術者試験といった国家資格は、客観的なスキル証明として非常に有効です。SES企業で働く方は、積極的に資格取得を目指すことをおすすめします。
SIer企業:上流工程参画で資格価値が高まる
SIer企業では、上流工程に参画する際に資格の価値が高まります。要件定義や基本設計といった上流工程では、顧客との折衝やプロジェクト全体の管理が求められるため、プロジェクトマネージャ試験やITストラテジスト試験といった高度な資格が評価されます。
また、資格手当制度を導入している企業も多いため、年収アップにも直結しやすいんです。キャリアアップを目指すなら、計画的に資格取得を進めていきましょう。
自社開発企業:資格よりも実践スキル重視
自社開発企業では、資格よりも実際のプログラミングスキルや開発経験が重視される傾向があります。ただし、基礎知識の証明として基本情報技術者試験などの資格は有効です。
自社開発企業で働く方は、資格取得よりも実際のプロジェクト経験やポートフォリオの充実を優先すると良いでしょう。ただし、特定の技術領域(データベース、セキュリティなど)の専門性を高めたい場合は、専門資格の取得も検討する価値がありますよ。
効率的な資格取得のための勉強法
資格取得を目指すなら、効率的な勉強法を知っておくことが大切です。
時間がない方でも、正しい方法で学習すれば合格に近づけます。ここでは、システムエンジニアの資格取得に役立つ勉強法をご紹介します。
スクールで体系的に学ぶメリット
資格の勉強に費やす時間があまりなく、自宅で隙間時間に勉強をされる方も多いと思います。しかし、時間がない方にこそ、スクールで学ぶことをおすすめします。
スクールでは、ただ知識を身に付けるのではなく、全体を体系的に学習することができます。体系的に学習することで、資格勉強にとどまらず現場でも応用可能なスキルを身に付けることができるんです。
スクールでは、試験対策にプラスして実践力も身に付けることができるため、時間がない方でも短い時間で今後に生かす能力を身に付けることができます。現場に精通した講師が体系的に教えてくれるのは大きなメリットですよ。
外部講師による対策講座の活用
基本情報技術者試験や応用情報技術者試験を始め、各種資格試験の対策講座を開催している企業も多くあります。資格試験専門の外部講師による講習を受けることで、効率的に合格を目指すことができるんです。
専門講師が全3回にわたって講習を行い、最後の講習後には模擬試験も行うといった形式が一般的です。独学では理解しにくい部分も、専門家の解説で理解が深まります。
実務経験と資格勉強の相乗効果
資格の勉強は、実務経験と組み合わせることで相乗効果を発揮します。実務で経験したことを資格の勉強で理論的に理解し、資格の勉強で学んだことを実務で活用する、というサイクルを作ることが大切です。
プログラミング技術の向上はもちろん、SEへ成長する為に必要な「人に伝える力」を身につける為の研究会なども活用すると良いでしょう。実践と理論の両輪で学ぶことで、より深い理解が得られますよ。
まとめ:あなたのキャリアに合った資格を選ぼう
システムエンジニアに資格は必須ではありません。でも、キャリアアップや転職、年収アップを目指すなら、資格は強力な武器になります。
未経験からシステムエンジニアを目指す方は、ITパスポートや基本情報技術者試験から始めてみてはいかがでしょうか。実務経験を積んだ方は、応用情報技術者試験やプロジェクトマネージャ試験など、より高度な資格にチャレンジすることで、キャリアの幅が広がります。
専門分野を極めたい方は、オラクルマスターやAWS認定資格など、専門性の高い資格を取得することで市場価値を高めることができるんです。大切なのは、自分のキャリアパスに合った資格を選ぶこと。やみくもに挑戦するのではなく、目指す方向性を明確にして、計画的に資格取得を進めていきましょう。
資格は、あなたの知識とスキルを客観的に証明してくれる強力なツールです。ぜひ、この記事を参考に、あなたのキャリアに最適な資格を見つけてくださいね。素敵なエンジニアライフを応援しています!

